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02 モノが捨てられなくなる時代のものづくりと循環型社会

2019.12.06

FieldWork

株式会社ナカダイ 代表取締役 中台 澄之

I-Openプロジェクトでは2030年以降の創造活動のあり方を構想すべく、さまざまな視点で未来の社会像を見据える方々へのフィールドワークやインタビューを行ってきました。本ウェブサイトではそのリサーチの一部を公開しています。

今回は約99%のリユース・リサイクル率を誇る産業廃棄物の処理業者であり、循環を前提とした社会の実現を目指す株式会社ナカダイの前橋工場、そして廃棄物由来のマテリアルライブラリーの公開・販売などを行うモノ:ファクトリー本店にフィールドワーク。ナカダイ代表取締役の中台澄之さんにお話を伺います。

世界的にこれほどまでに循環型社会への移行が叫ばれているのはなぜなのか。社会全体で循環のシステムをつくり出す最初のステップはどこにあるのか。産業廃棄物の世界からみたこれからの産業のあり方についてお話いただきます。

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ナカダイでは産業廃棄物を処理する、リサイクル事業をずっとやってきました。お客さんが「ゴミ」として捨てたものを「木」や「ポリエチレン」、「ペット」といったカテゴリーに分別して、ある一定量の品質に分けてリサイクルのマーケットに流すというのが私たちの仕事です。リサイクル材はきちんと分別すれば買ってくれる企業が絶対に存在します。「今度の生産計画のために中古で材料を安く仕入れたい。これぐらいのスペックで鉄を200t欲しい」と。溶かして「鉄」として売るのか、「鉄の棒」としてどこか別の建築屋さんに売るのか、それは僕ら次第です。ぐちゃぐちゃに曲がっている鉄の棒は建築の現場では使えないですよね。お客さんが持ってきたものを見て、「これをこう解体すると、ここに持っていけるな」と考えて、つなげていきます。どこに持って行ったら有効に使ってくれるか、それを見極めることができるかどうかが勝負だと思っています。

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群馬県前橋市にある株式会社ナカダイのリサイクル工場。 毎日70tのゴミが運ばれ、処理されている。どんな素材でできているかは、実際に開けてみないと分からない。運ばれてきたらカッターで開けて確認し、どう処理するか決めるという。

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2017年頃から、中国政府は、汚れたプラスチックや段ボールなどの紙類や、小型家電などの金属とプラスチックの混合物など、リサイクルするために洗浄や選別などが必要なモノの輸入を禁止しました。それまで日本では、面倒な工程は中国やベトナムに送って、やってもらうのが普通でした。そんな中、安い人件費のため、汚れた資源まで買ってもらっていた企業は、突然、出し先がなくなってしまったんです。

これまで企業側から廃棄物業者に新規取引の問い合わせなんて、ありえませんでした。だけどいまは、一日30件くらい新規の問い合わせが直接来るんですよ。彼らは中国に廃棄物を流していた商社やブローカーと契約していたんですね。汚れているとはいえ、形式上はすべて販売していたので、いままでリサイクル率100%でやっていたのが突然0%になるのは耐えられない。日本はゴミを国内で全量処分しないといけない状況をいままで経験したことがないんです。こうなると循環のスキームをつくらなければ、企業はこれまで通りの売り方ができなくなると思います。

たとえば、もし「来週からあなたの家庭のゴミはスーパーの袋一個分しか出してはいけません」と言われたら、いままで通りの生活できますか? きっと過剰包装なんてもってのほかと断るはずですよね。洋服だって「古くなったら回収します」と言ってくれる方を買いますよね。ものを生み出すことについては規制されませんが、捨てることに関してはわからない。企業はそのリスクを考えないといけません。もしも何か起きてからスキームをつくっても遅いんです。5年、10年先を見据えないといけない。5年後「なんだナカダイさん、みんな自由にゴミ捨てられるじゃん」と言われるかもしれないですけど、それだったら、それでいいんです。でも、それを未然に防ぐためにはみんな動かないといけないはずですよね。

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ペットならフリースに、PEだったらバケツに。 単一の樹脂で作られていれば、別のものに生まれ変わりやすい。しかし近年のプラスチック製品はいろんな素材の複合材になっているものが多く、その分別は難しい。

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この仕事はモノと一緒に情報もやって来るんです。どこの国で製造されて、どうやって運ばれて来て、どんな理由で廃棄されたのか、情報を整理していくことが可能です。僕らはそれをマテリアル・プロフィールと呼んでいます。これを整理していくと流通や製造のエラーが結構露骨に見えるんですね。この仕事は課題発見の手法としてはかなり長けています。だからこそ僕はこの業界を情報産業として見ています。廃棄物から課題を紐解いていくって、すごくクリエイティブで、とんでもなく面白い仕事なんです。

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マテリアルライブラリーでは解体された廃棄物=マテリアルを展示している。素材は購入することも可能だ。

リーマン・ショックの後、産業は本当に変わりました。国内にあった工場は海外に移転していって、残った土地は在庫を管理する倉庫になったので、廃棄物は減るかなと思っていたんですが、結果的には在庫処分が増えました。たとえば海外で製造された製品のラベルの誤字脱字が原因だったりして、スプレーのボトルが何万tも未使用のまま処理される。モノ:ファクトリーでちゃんと素材を売らなくちゃいけない、と思った理由はそこにあります。新品のものをエネルギーかけてクラッシュして小さなピースにして、それで「ナカダイさん、リサイクル率すごいですね」と言われても、何も誇れない。この形状のままを活かした、何か別のものつくることはできないのかというのが僕の根本です。

ただ元の形のまま売り買いするというのはおそらく処理費がもらえないので、あまりお金にはならないと思います。たとえば、運ばれきた20tのスプレーボトルが一本100円で飛ぶように売れるかというと、やっぱり売れないんですよね。一本10円に値段を下げて売るかもしれないですけど、管理する敷地のコストを考えるとお金にはならないと思います。単にものの売り買いのフェーズで考えると、どっちが得かの話になってしまう。だとすればもうひとつ戻って、「循環」というビジネスをつくろうと考えれば、そのスキーム自体をつくることできっちり仕事になっていくはずなんですよね。

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社会全体として循環を考えるのであれば、まずは製造する各社が自社製品をしっかり回収することですよね。ある製品だけがまとまって集まってくれば、素材の判別がしやすい。近年、盛んに行われているリサイクルしやすい素材を使うとか、解体しやすい構造にするとかというのは本来、次の話なんです。

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ナカダイではいま伊藤忠リーテイルリンクさんと一緒に、いらなくなった自社製の古いスーツケースを回収して、リサイクルするスキームをつくっています。スーツケースの買い替え頻度って知っていますか? 統計をとると4ヶ月に一回なんです。海外に頻繁に行く人なら実感があるかもしれませんが、現地でスーツケースを追加で買う人が多かったり、逆に出発地でスーツケースを買って、書類を抱えて海外に行って、向こうに放って帰ってくる人もいるらしいんですよ。これじゃマズイということで、回収できる仕組みをいっしょにつくっています。

その上で伊藤忠さんとはいま、100%ペットでできたスーツケースをつくっています。ものが一巡して再製造されるスパンを考えるとおそらく5年後くらいには、僕らのもとに戻ってくる伊藤忠製のスーツケースは全てペットしか使ってないものになるはずです。5年後、10年後の未来を見据えるならいまからやるしかない。

普段、ナカダイに入ってくるスーツケースは当然、ひとつの企業のものだけではありません。いろいろな企業のさまざまな素材が使われた製品です。「この年代はこの樹脂で、この年代はリサイクル材を使っています」と各企業が努力していただくのはいいんですが、廃棄物業者からするとひとつずつメーカーを調べて、何がいつ使われているのか見て解体するわけにはいきません。だから「この年代からはこれしか使っていない」というのはとても理にかなっています。「ナカダイさん、この年からは絶対にペットだから」と言ってくれればいいし、「この製品、このビス使ったら解体しやすいよ」となっていたらすごく楽。だからこそ製造の段階から、循環の仕組みを考えて、設計することが重要なんです。

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近年、紙ストローや分解性プラスチック、土に還るプラスチックが話題にのぼることも多くなりました。大量のゴミをポイっと捨てることが前提の社会ならものすごく意義のあることですが、循環が前提となる社会を構築するには、この動きは逆に弊害になる側面がある。循環をつくり出すためには、その社会のシステムがどうなっているのか、そこを見極めることが必要不可欠なんです。

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欲しいものが手に入れられて、僕らが心地よく生活できることはもちろん大事です。たとえばあらゆるものが受注生産になっちゃって、「今から2、3週間待ってください」なんて生活は誰もしたくないでしょう。

いまの便利な生活を維持するためには、もちろん企業はロスを減らさなければいけません。でもそれでもロスはどうしても出てしまうものです。そのロスに対して、すべてを焼却処分してしまう以外の方法を、僕らはいまからつくっていかなくてはいけないんだと思います。

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循環はスキーのリフトと同じです。生産から消費への直線や、廃棄物をマテリアル化する直線のプロセスはどんどん効率化されていいと思います。でもものとしての廃棄物をどうするか、マテリアルから何をつくるか、そのターンするポイントはゆっくり丁寧でないといけない。そのためには生産する側がいかにその仕組みを最初に設計できるかにかかっています。

僕自身、この業界でいろいろな場所を見てきていますが、もしも、ある都市で各国が競って循環型社会をつくるとすれば、実は日本はいい線いくんじゃないかと思います。それだけの技術をもった会社がたくさんある。やれることは近くに転がっていますし、日本にはそれができるはずです。

Text by Gen Goto

Photographs by Nanako Ono

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