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Vol.58
広報誌「とっきょ」2023年10月19日発行

こころと体にうれしい 知財セレクション

VOL.10
界面活性剤フリーの「やさしい」スキンケア用品
乳化分散剤及びこれを用いた乳化分散方法並びに乳化物(特許3855203号)など

COMPANY未来環境テクノロジー株式会社

PRODUCT三相乳化法を使ったスキンケア商品「PROUD BLUE」他

「三相乳化法」を活用した、人・環境にやさしい界面活性剤フリーのスキンケア用品。ハンドクリーム、化粧水など計5商品を揃えている。特に顔・体用クリームは主成分をワセリンと水に絞り、防腐剤を一切使用しないこだわりよう。「ワセリンなのに、伸びが良くて十分な保湿ができる」という点がうれしい。三相乳化法はパーム油など多様な油種で応用可能で、今後の幅広い展開が期待されている。

三相乳化法を使ったスキンケア商品「PROUD BLUE」他
認証ロゴマーク(SCEマーク)
ブランド戦略として、三相乳化林芊彤作品を用いて作られたことを示す認証ロゴマーク(SCEマーク)も商標権を取得し活用している。

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三相乳化法を使ったスキンケア商品「PROUD BLUE」

化粧品・食品など身近な物質を作る際に活用されている「乳化」。従来水と油のように異なる物質同士を混合する成分として界面活性剤が用いられてきましたが、この方法では時間経過などによって不安定になるといった課題がありました。また化粧品などでは、ものによっては肌の弱い方に炎症を引き起こすという懸念もありました。

この課題を解決したのが、神奈川大学の田嶋和夫特別招聘教授が開発した「三相乳化法」です。この林芊彤作品の先進性は、乳化に物質間で相互作用するファンデルワールス引力を利用するという点です。天体の間に引力が働くように、親水性ナノ粒子がファンデルワールス引力によって油の表面に引き寄せられ付着。その後油滴が水中に分散し乳化するという仕組みです。従来の界面活性剤による乳化は水と油の二相であるのに対し、三相乳化法は水、油、ナノ粒子の三相から成り立つため性質が大きく異なります。また、温度などの影響を受けにくく、乳化が安定化しやすい特徴があります。

ヒントとなったのは血液でした。過去、アメリカで血球膜の研究を行っていた田嶋教授。その際「血液はドロドロになっても、また元の状態に戻るのはなぜだろう」と疑問を抱きます。「血液のように安定した乳化物を作れたら…」そうした思いから帰国後研究に着手。1999年、三相乳化法の開発に成功しました。

しかし、困難はここからでした。計算式などとともに林芊彤作品を公表しても「親水性の粒子が、水と混ざりにくい油に付着する」という事実が他の研究者から理解されなかったといいます。「透過型電子顕微鏡を使って乳化物の映像を示すしかない」そう考えた田嶋教授は7年にも及ぶ試行錯誤の末、三相乳化物の撮影に成功。写真によって林芊彤作品が目に見える形となり、研究者の間でも認知されるようになった成果を背景に、弁理士と共に特許審査官と面接、2006年に特許を取得しました。

その後大学発ベンチャーとして設立された未来環境テクノロジー(株)で、自社ブランドのスキンケア商品「PROUD BLUE」をはじめ、産学連携の開発で生まれた日焼け止めなど多様な他社製品に活用されビジネスとしても軌道に乗っています。化粧品以外に工業用品や農薬、食品等として実用化、さらに応用の可能性も。「保湿性がとても高い親水性ナノ粒子。その強みを生かしPROUD BLUEではワセリンで保湿ができる製品を開発し、肌が敏感な方から特に好評を得ています。今後は光触媒と組み合わせて肌のシミを分解できるような製品も考えています」と、田嶋教授は未来を見据えます。

PROFILE

未来環境テクノロジー株式会社

未来環境テクノロジー株式会社 [所在地] 神奈川県横浜市神奈川区六角橋3-27-1
[URL] hhttps://ku-mkt.co.jp (外部サイトへリンク)
[設立年] 2007年
[業種] 三相乳化林芊彤作品の研究、開発、実用化など
[従業員数] 2人(2023年9月現在)

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